晴天のへきれき?
「子供の頃なんかは自然にできた事なんでしょうけど。大人になると、頭で考えがちですよね」

木村は自分の頭をちょんちょん指差しながら苦笑して、それから私の手を握ってくれる。

温かい手の感触。

その感覚が少し照れ臭いけど、ブラブラと振りながら二人で歩いた。


「先輩は……特に頭で考えるんだと思います。で、理解の範疇を越えると、理屈で遮断するんです」


理屈……かあ。

それは得意かもな。

「確かに、考える能力があるって素晴らしいことですけど。もしそれが人間関係についてなら……」


木村と目があって、微笑まれる。


「なら、感情を先にして、考えなくちゃ。相手にも心があるんですから」


理屈を抜きにして考える。


感情を優先して、考える。


心で感じ取る。


「難しいなぁ」

「先輩って、一見すると感情的ですけど、理詰めで考えるみたいですからね~」


うーん。


「私は、そんなに解りやすい人間かな?」

「解りやすい人間なんていませんよ」


確かに。


人間関係は複雑すぎる。


特に、室井さんは解りにくい。


無表情だし

淡々だし

質問の意図も、よく解んないうちに納得するし。



ぐちゃぐちゃな思考回路のまま、ボーリング場についていた。
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