晴天のへきれき?
「ビックリしましたぁ。結婚でもするのかと」

「いつかは行くよ」

訂正ペンで紙書類のチェックをしながら、サラリと呟く。

たぶん、落ち着いて、胸の痛みが無くなる頃に。

今は考えもしないけど、もしかしていきなり見合いとか始めるかもしれないし、婚活を始めるかもしれない。

ちらっと視線を上げると、木村がポカンとしていた。

「こら。木村。月末なんだが?」

「あ。はい。すみません」

溜め息をつきつつ、出来上がった書類を取りに印刷機に向かう。


その帰りに、メールと睨めっこしてる高木さんに気がついた。

何をしてるんだろうと、こっそり背後から覗いて納得。

メールが文字化けで、暗号みたいになってる。

それならそうと、言ってくれればすぐ直せるのに。


声をかけようとして、ふっとやめた。


思えば、高木さんは事務のチームの最年長だ。

私は管理で、彼女は一般。

年下に聞きたくないと言う、プライドがあっておかしくはない。

私だって、仕事のことで木村に聞くのは、けっこう躊躇うし……


「高木さん。こんな時に何だけど、この書類を開発部の貞方さんに持って行ってくれませんか?」

高木さんはビックリして、書類を受け取ると、オフィスから出て行った。


その間に、カタカタとメールソフトの文字化けを直す。


それから何気なくデスクに戻った。
< 191 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop