晴天のへきれき?
「先輩。何してたんですかぁ?」

「んー? 高木さんにラブメール?」

事務チームから失笑。

ま、笑えるのはいいことだわね。


笑われたの私だけど。


とにかく、入力して、印刷して。

間に合った時は、メール配達のお兄ちゃんに任せて運んでもらう。

そうこうしてるうちに、高木さんが近づいて来た。


「朝倉さん」

「はいはい? 書類?」

「大福よ」


はい?


ポカンとして顔を上げた。


見ると、高木さんの手に、透明フィルムで包まれたピンクの苺大福。

「貴女、苺好きでしょう」

手に乗せられて沈黙する。

「メール。助かったわ」

ああ。

御礼と言うことか?

「いえいえ。私も新人の頃泣かされましたし。しかも生意気だったから、誰にも教えてもらえず……」

「そうね」

あっさり納得されて、溜め息をつく。

「そこ、思ってても否定してください」

周りからも笑われる。

「生意気だったもの。嘘はいけないわ」

高木さんは艶やかに微笑んで、手をヒラヒラさせながら戻って行く。

「でも、ま。嫌いじゃないわ。その威勢のよさは」


あら、あらあらあら。


お姉様に認められた?


これは喜ぶべき?
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