晴天のへきれき?
「そのセリフって、いつも村田君が言ってたね」

昔から、村田君は察しがいい。

それだけ村田君は、私の事を見ててくれていた。

そういう訳で……


「そうだねぇ。タカは、けっこう鋭いようで抜けてたから」

高瀬をからかって、村田君は煙草を吸う。

「残業したとして、20時くらいの待ち合わせでいいかな?」

「あ、うん。社員入口?」

「もしもの時用に、目の前のドトーレにしようよ。連絡先教える」

そう言って、会社用の名刺をくれた。

思えば、村田くんとも連絡先を交換したことがなかったな。

「もし、行けないようなら連絡するから」

「うん、解った。でも、村田君はそれでいいの?」

もし村田君が、昔と同じ気持ちでいるのなら。

私の答えはひとつだ。

顔を上げると、軽い苦笑が返ってきた。


すでに、答えを知った顔をされている。


「ま、なるようになるよ。それこそ同期の仲じゃない? 気にしないで」

そんなものは構わなくていいから。

愚痴につき合うから。

そう言われた気がして、頭が下がる思いだった。




私の周りには、ちゃんとした大人が多い。



それに比べ、私は未熟だ。











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