晴天のへきれき?
「お前……村さんに何か言ったのか?」

聞かれて首を振る。

何かって、何を言うと思うのさ。

「何も。でも、村田君の事だから、言わなくても察したかな」

淡々と答えると、頭を小突かれた。

「ホントに仕方ない奴だな。木村ちゃんも心配してたから、明日は元気に来いよ?」

「木村の心配性はいつものことだ」

「おいおい……」

「大丈夫。ビール2杯だけだから」

そう言って、入口で待っててくれた村田君に追い付いた。

「お待たせ」

「はいはい。じゃ、和洋中とどれがいいかな?」

「ん~。ビールだから、中華」

歩きだしながら、村田君が目を丸くした。

「さっちゃんは、いつでもどこでもビールじゃなかった?」

「日本酒も飲むよ」

「それは、チエさんとこだけでしょう?」

気がつけば、そうじゃなくなっていた。


そうか。


とちょっと再確認。

私は、あんな前から、室井さんの影響を受けていたらしい。


黙り込んだら、村田君が笑った。


「さっちゃんも、ちょっと見ないうちに、いい女になったな」


言われて瞬きする。


「……こんな子供っぽいのに?」

「認識したってのは、いいことなんじゃないかな?」

そう言って、立ち止まる。

見上げると、ランチでもOL御用達の中華料理店だった。
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