晴天のへきれき？

村田君は、ゆっくりと煙草を吸い込み。

それから煙と一緒に、フッと笑った。


「すごいね」


ポツリと言われて、顔を上げる。


「すごいよ、その彼氏」


……何が？


「あれだけ鈍感なさっちゃんを、そこまで変えるなんて……なかなか出来ないと思うよ？」

うん。

そうかも知れない。

それは、室井さんが私を理解してくれてる、と、感じたからでもあり。

理解者がいると、やっぱりどことなく安心できて。


安心感が楽しくて。


安穏としていて……


甘えていた。


「でもさ、さっちゃん」

「ん？」

「さっちゃんが彼を好きだ～って、気付いたのは、いつ頃の話なの？」


それは……


「先週の土曜日」

「土曜日に同僚と会ってたの？」

驚く村田君に、コックリと頷く。

「飲みに行ってたから」

「ああ……成る程ね」

村田君は煙草を消して、ポンポンと私の頭に手を置いた。

「じゃ、まだ諦めるのは早い」

「……諦めた、なんて言ってないと思うけど？」

「言ってなくても、そのつもりだったでしょう？」

言われて、俯く。

村田君はやっぱり大人だ。