晴天のへきれき?
「だからこそ、面白い」

「面白い?」

「……育ちも、環境も、性格も、考え方も、同じ人間だらけなら、人類は滅亡してるんじゃない?」

「戦争はないかも」

「変わりに、意見もなければ何も生まれない。この店だって、誰かが店を出そうと思わなければ、僕たちも食べに来れない」

村田君はそう言って、首を傾げる。

「感情のぶつかり合いがあるからこそ、いいものが生まれる。だから、面白い」

面白い、楽しい。

「殻に閉じこもってないで、出ておいでよ」

村田君の、清々しい目を見上げる。

「よくよく考えてみたら、全て同じ人間がいたら気味が悪いわね」

「僕らはロボットじゃないから」


いつだって迷うし

周り道するし

道草だってするかも知れない。


「……頑張ってみる」

呟いた私に、村田君は微笑む。

「それでこそ、さっちゃんだ」

大きく頷く村田君は、ちょっとだけ、からかうような顔をした。

「もし玉砕したら僕がいるから、安心しなさい」

「………村田君」

「何?」

「私、村田君のその心理が解らない」

玉砕してるのに諦めない。


「僕は諦めが悪いから」


そう言って笑った。












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