晴天のへきれき?
「はぁ……では、お借りします」

病院のスロープを下りて、停まっているタクシーに向かって歩きかけ、

立ち止まったままのチーフを振り返った。


「ありがとうございます」


その言葉に、チーフは頷いた。

「安静に」

「はい」

それから無言でタクシーに乗り、住所を告げると車は動き出した。


ふっとチーフを振り返る。

いつもの無表情。

軽く手を上げられて、頭を下げる。
角を曲がるまでその姿を振り返り、見えなくなると前を向いた。


何だか不思議な人だ。


しかも、無表情は無表情でも、よく見るとちゃんと表情があるらしい。

それが、ちょっと微笑ましい。

まぁ。普段はあまり微笑ましくはないのだけれど。

考えているうちにタクシーがマンションのに到着し、料金を払って部屋に戻ると脱力した。
思っていたよりも、疲労がたまっていたらしい。

まず制服を脱いでハンガーにかけると、部屋着に着替えてベッドに寝転がる。

時計の針は15:25。

ホントに申し訳ない事しちゃった。

きっと、チーフは残業だろうな。

風邪を早く治して、私でよければ仕事を手伝おう。


ちょっと決心した。
















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