晴天のへきれき?
「ホントに何があったんですか。たまには腹割って話してみましょうよ」

泡盛の小瓶を傾けてコップに注ぐと、それを室井さんに掲げて軽く頭を下げる。

「……朝倉には、あまり言いたくない」

ブツブツと言う室井さんに苦笑した。

仕事の事じゃないだろう。

プレゼンは成功したし。


だとすると、プライベートな話になる訳で。

なんとなくだけど、ピンと来てしまった。

「恋愛問題ですか?」

一瞬だけ、室井さんの手が止まる。


ああ。

そういう事か。

なんで、こういう事にはピンと来てしまうんだろう。

まったく恨めしいな。


「その手の話なら、私じゃ頼りになりませんよね~?」


苦笑しながらお酒を飲んだ。

室井さんは静かに私を見る。

「……まったく、振り向いてもらえない」

その言葉に目を丸くして、いつもの無表情に戻った彼は、淡々と盃を傾けた。

「まったく眼中にないと言うか、まったく構われてないと言うか……」

ああ。

私と一緒の状態なのね。

「室井さんて、解りにくいですからね~」

「……俺はそんなに、解りにくい人間だろうか」

ええ、とっても。
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