晴天のへきれき?
「室井さんが優しいって思いますけど、あれは見ただけじゃ解りませんよ」

ほんのちょっぴり驚いた目を返された。

「優しい……と、思うか?」

「もちろん。潔いところもあるし、ちゃんと人の気持ちも判ってくれるじゃないですか」

「……そうか?」

とでも懐疑的な声。

「言葉がいつもぶっきらぼうだし、少ないし、ぱっと見ただけだと冷たく見えちゃいますけどね」

「冷たい……とは、よく言われる」


呟きに、首を傾げた。

室井さんは、その好きな彼女に、そう言われてるんだろうか?

だとしたら、あまり話をしていないのかも知れない。

いや。

室井さんシャイだから、その彼女とはあまり話せていないのかも……

きっと、そうなんだろう。

「ちゃんと会話できてますー?」

室井さんは、コップのお酒を飲み干して、ママにお代わりを注文する。

「……たぶん。話はできていると思うが」

「室井さんが思ってるだけじゃ駄目ですよ?」

いつもみたいな淡々とした調子じゃ、かなり深く話さない限りは伝わらないと思うなぁ。

「私だって話してても、チーフが何考えてるか、なんて解らないんですから」

「朝倉が?」

そりゃそうですよ。
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