晴天のへきれき?
「……何が言いたい?」


少し懐疑的なの声に頷いた。

私は、そんなに言葉が上手くない。

そもそもこんな私が巧みになんてなれない。

だけど、言えるだけは言ってみよう。


「私は感情を出すより、それを隠す方が上手い。それで28年生きてきてます」

室井さんはママからお代わりを受け取って、それをカウンターに置く。

「でも、室井さんは違うでしょう?」

首を傾げると、微かに眉をしかめられた。

「その方に、さりげなく……じゃなく、ちゃんと向かい合ってます?」


視線が外された。

つまりは、行っていない。


答えが解ると、苦笑した。



ああ。

やっぱり、みんな恐いんだよね。

傷つくのを恐れて、立ち尽くすのは、きっとみんな一緒。

大人になると頭で考えちゃうから、きっともっと余計に難しい。


素直な人は羨ましい。


「向かい合ってみればいいじゃないですか」

「努力はしてる」

俯いた室井さんに、腕組みを外した。


もどかしい。

本当に、素直になるってのは難しい。


だけど……


夢見てばかりじゃいられない。
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