晴天のへきれき?
「室井チーフ! 起きて下さい。着きましたよ!」

「……ん」

「私は貴方みたいな巨人さん抱えられませんから! 起きてくださいって!」

その言葉に運転手さんが笑った。

「小人さんが潰れちゃいますね」

言われてカチンとする。

にゃろう。

そりゃ私は平均よりは小さいけど、ほんの2・3㎝だぞ!

「お手伝いしますか?」

「いえ! 是が否でも起きてもらいます!」

そう断言して、室井さんの顔をパシパシ叩く。

「痛い……」

「そりゃそうです!」

寝ぼけているようだけど起きてくれたので、とりあえずはタクシーを降りた。

「マンションはこれで合ってますか?」

室井さんはボンヤリと、目の前のマンションを見上げて頷いた。

それから歩きだし……

ふっらふらで、見てるこっちが冷や冷やするんですけど。

「ああ、もう!」

急いで肩を貸しながら、エレベーターに乗せた。

「何階ですか?」

「……10階」

10のボタンを押して、またうとうとし始めた室井さんをつねる。

「寝ないでください!」

「だから痛い」

「痛くしてるんです!」

10階に着いて、薄暗い廊下を眺めた。

「部屋は何号室ですか?」

「……1093」


ええと、1092…1093。


「ああ、そこですね。ちょっと室井さん、鍵を貸して下さい」

鍵を借りて部屋のドアを開けながら、室井さんを押し込む。

勢いついて室井さんが壁に激突したけど、とりあえずは無視。

その拍子に玄関の明かりがついて、手探りする事なく、明るい玄関に入り込んだ。
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