晴天のへきれき?
なんだか室井さんらしいな。

とっても整理整頓された感じ。

短い廊下の突き当たりには収納があって、左右に部屋が別れている。

とりあえず、鍵とバックをシューズボックスに置いて、室井さんを見上げた。


「酔っ払いは早く寝ちゃいましょうか」

「え……?」

え?

室井さんは明かりに目を細めながら、私をぼんやり見下ろしてる。


「朝倉?」

「はい?」

「……なんで、お前がここにいるんだ?」

不思議そうな声の室井さんに、思わずコケそうになった。


お、覚えてない?

寝ると、記憶を無くすタイプなのかな?

「貴方が『蔵』で潰れたから、送って来たんです」

なんだかなぁ、もう。

ミュールを脱いで、室井さんを振り返る。

「手を貸しますから、ちゃんとベッドで寝て下さい」

手を差し出すと室井さんは黙ってその手を見て、

それから、ゆっくりと首を振った。



「駄目だと思う」

「貴方の方が駄目ですよ」

「そうじゃない。お前は解っているか?」

キョトンとした私の目と、静かな室井さんの目が合った。


「俺は、明らかに普通の状態じゃないし、君は……そんな男の部屋にいると気付いてるか?」




言われて、ドキンとした。
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