晴天のへきれき?
正直、あまり考えていなかった。


……それは確かだ。


相手はかなりひどい酔っ払いだし、酔っ払いの介抱は実は高瀬で慣れてる。

昔は村田くんも含めた3人でよく飲みに行って、真っ先に酔うのが高瀬だったし。

ただ、奴は実家だから最後は親御さん任せだけど。


「…………」

黙っていると、室井さんが口を開いた。

「俺は何をするか解らない。だから、帰ってくれ」

「…………」


別にいいんじゃないかな。

何があったとしても、私は室井さんが好きだし。

それでも構わない気がする。


逆に言うと、チャンスかも知れない。


室井さんは誰かが好きで

酔い潰れちゃうほどに好きで

私には、手が届かない


それに今なら


今ならば"酔った勢い"


そういう、言い訳も出来るじゃない?


それでもいい


彼と触れ合えるなら


その人の身代わりとかでもいい


彼が望んでくれるなら……


気がつけば、俯いてしまっている彼の、その頬に手を置いて、


「寂しいんですか?」


パッと上げられた視線に、葛藤が見えた。


「何も、考えなくても……いいですよ?」



言った瞬間、



唇を奪われた。
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