晴天のへきれき?
初めてのキスはお酒の味がした。


それから、室井さんが吸う煙草の味。


きつく抱きしめられて、

空気を求めた瞬間に、また唇を塞がれる。



何度も、何度も繰り返されて

頭の中が真っ白になる。


「……んっ!」

唇を合わせたまま腰を引き寄せられ、小さな声を上げると抱き上げられた。

短い廊下を通り過ぎ、右手奥の部屋に入る。

静かな部屋に、ブラインドが微かに開いていて月明かりが見えた。


それから、影になった室井さん。


そっと横たえられ、近くのランプがついて、ベッドに寝かされたことを知る。



頼りない視線が、ネクタイを外している室井さんと合った。


シュルっと、小さな絹擦れの音がして、室井さんはネクタイを投げ捨てる。

それから、私の横に腰をかけ、そっと唇を合わせた。


目を開けると、深く静かな瞳と合って、視線をそらす。


「………っ!!」


ブラウスのボタンが外されて、少しひんやりした空気が肌に触れた。


「乱暴にはしない」


耳元で囁かれる低い声に、ゾクリとした。



この声も好き。


苦しくなるほどに、


愛おしい……



思わず室井さんの首に両腕をまわし、引き寄せる。
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