晴天のへきれき?
離れないで。


抱き締めて。


もっと熱く。


もっと強く。


「何も……考えないで」


考えずに、私を抱いて。


「お願い…」


「…………」


室井さんは無言で、おでこにキスをしてくれた。


次に、まぶた、


次に、唇。


深くて


切ないくらい優しいキス。


泣いてしまうような、だけど嬉しくなるようなキス。





離れた時、


ふっと息をついた。


その瞬間に、彼が深く身を沈めて来る。


「……あっ!!」


きつく抱きしめられて、彼にすがりついた。

嬉しさと同時に、悲しさが込み上げる。


こんなにも近いのに……


温めあえる程に近いのに……


心は遠い。



嬉しいけれど、どこか悲しい。



そう仕向けたのは私。

寂しいのは私。

選んだのも……



私だから……














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