晴天のへきれき?
人は少ないだろう……と思いつつ、トラックはたくさん停まっている。

スーパーの検品所っぽいところが開いてるから、納品のトラックかも。

てくてくと歩いてスーパーに入ると、それこそ人がいない。

2階は本屋とドラッグストアらしいけど、緑色のネットが掛かり、エスカレーターは止まっていた。

入口近くにベンチがあって、灰皿が置いてある。


黙ってそれを眺め、座る事にした。


なんか疲れてるし。

そもそもあの手の行為は、普段使わないような筋肉を使うらしい。

つい思い出しかけてパタパタと追い払う。

思い出したら赤面ものだ。


最中はそうでもなかったけど、思い出すと恥ずかしい事だらけだ。


世の中の男女は、よく平気なんだな。


「……………」


いや、

やめよう、やめよう。


つい思い出してる。


ここはあれだ、能のことでも考えよう。


いや、駄目だ。


能面を思い出すと、やっぱり室井さんの無表情を思い出す。

溜め息をついて、バックから煙草を取り出した。


もう、

この想いはしまおう。

そう思えば思うほど、溢れ出す。


ふっと『恋重荷』と言う能を思い出した。
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