晴天のへきれき?
恋の重荷……


昔、白河の上皇に仕える菊作りの老人は上皇の奥さんである女御に恋をする。


菊作りの使用人と、貴族のお姫様。

もちろん身分が違うし、年も離れている。


老人の恋心を知った女御は、老人に〝この荷物を持って、庭を回れれば姿を現そう〟と約束する。

昔のお姫様は部屋から出ることもまれで、外からは御簾や屏風に隠れて垣間見えることも少ない。

女御の姿を見るためならばと老人は喜んで承諾する。

一見すると軽く美しいだけのその荷物は、実は岩を包んだもので、老人の細い腕では上がらない。


老人は絶望して、その果てには死んでしまう。

そして、女御に祟る。

恨んで、恨んで、恨んで……


でも、最後には女御を許して、守り神となって、消えて行く。


今まで、この老人は女御を祟って、呪って、だけど恋心を取り戻して消えていくのだと思っていた。


でもきっと違う。
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