晴天のへきれき?
「おかしくはない。犯罪者だったら大変だ」

「……お気遣いありがとうございますね。でも私はちゃんと見てから開けましたよ?」

室井チーフは、ドアについている覗き穴を見て、ゆっくりと視線を反らした。

「……そのようだ」

今のは、もしかして照れたのか?

解りにくい人だ。

「どうぞ、上がってください。お茶でも入れます」

「それは、駄目だ」

瞬きする私に、キッパリと首を振った。

「あ。忙しいです?」

「こんな夜遅くに、女性の部屋に上がるのは、よくないと思える」


ウケた。


「笑い事じゃないぞ?」

厳しい声で言われて頷く。

「女性扱いして下さってありがとうございます。ただ……こんな夜遅くに、玄関先で押し問答も妙でしょう」

「病人は大人しく寝てろ」

「はい。だいぶ良くなったので、問題はありません」

ドアを広く開けてから、紙袋を受けとらずに部屋に戻る。

「紅茶がいいですか? コーヒーがいいですか?」

「…………」

諦めたように室井チーフは入って来て、ドアを閉めた。

「お邪魔します」
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