晴天のへきれき?
なんでだよ。


クッションで顔を隠しながら、視線だけ室井さんに向ける。

すると室井さんは煙草に火をつけながら、真っ直ぐに私と視線を合わせて来た。

「知っていたら、もう少し優しく出来たと思うが」

優しく、とか、優しくない、とかがあるのか?

「……だいたいだな。何故、初めての男に、あんな状態の俺を選んだんだ」

酔っ払いで、半分撃墜されてた室井さんを?

……それはいろいろと考えたからじゃないか。

ああいう状態じゃなきゃ、好きでもない女なんぞ男性も抱かないでしょう?


「室井さんには関係ないじゃないですか」

「関係なら作っただろう」


ええい!

淡々と言うな!


「私の中で勝手に消化されてる事だから、室井さんには関係ないんです!」

「その中が気になる」


だから、何故だ!


「室井さんは室井さんの好きな人に集中してれば、それでいいじゃない」

呟く様に言うと、室井さんは視線を外し、煙草を吸った。


いらついてる?

困ってる?

怒ってる?


解らない。


「朝倉」

「なんですか」

「……俺は、お前に嫌われる様なことをしたか?」
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