晴天のへきれき?
「……室井さん」

「なんだ」

「人の分析はいいですから、自分の事に集中すればいいじゃないですか」

「俺は俺の好きな子に集中しろ……と、そう言いたいんだろう?」


その通りだ。

私なんて構っていないで、そうすればいいじゃないか……


「……それだったら、今してるじゃないか」

……え?

「だから、話はそらさないでもらいたい」

あの……

ちょっと待って?

恐る恐る顔を上げ、真っ直ぐに私を見ていたらしい室井さんと目が合う。


「室井さん……」

「なんだ」

「室井さんの好きな人……」

「だから。何が因果で〝好きな女〟に、恋愛について説教されなくてはならないのかと思った」


思わずポカンとした。


「だいたい俺は何度、お前のことを食事に誘ったと思ってる?」

ソファの背に両手を回し、足を組みながら淡々と呟く。

「いい人、なんて言われて喜ぶ奴もいないし」

それは村田君も言ってた。

「単なるゲームのキスで大騒ぎするし」

いや、だってねぇ?

「何かしたかと聞いたら、何もない……つまり、単なる同僚って突きつけるような感じだったしな?」


そんな事を言われても……
< 241 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop