晴天のへきれき?
ただちょっと……

ものすごく、言いたい放題なのにカチンと来た。

「あんなに淡々としてたら、誰だって気付かないでしょうが!」

室井さんは首を振りながら、ついでに指も振った。

「杉下室長は気付いてた」

はい?

ダンディが?

「高瀬さんだって、木村さんだって気付いてた。俺は結構あからさまなはずだったし」

言われてみて、先月から先々月の、みんなの不可解な言動を思い返す。

「………あ~」

納得出来た。

確かに、思い返せばいろんな忠告を受けて来た気がする。

「お前は、救いがたい程に鈍いんだな」

「室井さんの無表情がいけないんだって! あんなんで解れって方が難しい!」


睨みつけると、視線を外された。


「それは仕方ない。お前といると……緊張する」

「……………」


ぱちくりと瞬きする。

私といると緊張するの?


「俺は、激しく人見知りするって言った」

いや、聞いたけど……


ちょっとウケた。


「……朝倉」

「はい?」

「笑うな」

いや、だってねぇ?

笑っていると、じっと見つめられた。

「それで?」

それで?

「何故、俺なのか」

……あー。


うん。


そうだなぁ、それは……


「ご想像にお任せします」


言った途端、頬っぺたをつねられた。


「お前はっ……この期に及んで、まだ言わないつもりなのか?」

「いひゃい! いひゃいれすっれ!」


だって、


素直になるって、とてつもなく難しい。












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