晴天のへきれき?
「明日は朝倉の誕生日ですし、馬に蹴られたくなければ退いてください」

淡々と、何を宣言しちゃってるのよ!!

「室井。君って、2・3年前から好きな女性がいるって言ってなかった?」


え?


村田君の言葉に息を飲む。


「言いましたね」


って……室井さん……



それじゃ、やっぱり、私の他に……?


ちらっと、室井さんは私を見て、


「……朝倉とは、研修で会ってますから」

「……っ!!」

驚いた。


同時に胸がキュン、と締め付けられるような感覚に目を丸くした。


え?


……何。

今更、キュンってなるの?

「と言う訳で、彼女の誕生日は俺が独占しますから」

淡々と述べて私の腕をつかむと、スタスタと歩いてタイムカードを押し、くるりと振り返る。


「じゃ、お疲れ様です」

そのままスタスタとロッカールームまで連れ出されて、立ち止まった。


「あの。私、まだパソコンの電源とか業務日誌があるんですが……」


呟くと、手を離して俯いた。


そのままで振り返って、両肩に手を乗せられる。


表情は見えない。
< 247 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop