晴天のへきれき?

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「木村ぁ。総務の書類できた?」

「出来ましたよ。そちらはいかがですか先輩」

 先輩は暗い顔をしながら、うっすらと笑みを浮かべて、モニターから視線を外す。


 目がお亡くなりになった魚のよう。


 これは苦戦していそうですね~。


 と言う事は、朝に頼まれた英語の書類をやっているんだろう。

「……チーフに聞いたらいかがですか~?」

「いや。それはプライドにかけて出来ない」

 先輩は妙にきっぱりと言い放ち、モニターに視線を戻した。


「おにょれ、あんの男は……ふざけたコトしてくれて」

 ブツブツ言っているのはいつもの事、なんですけどね~。


 ちらっと先輩の後ろを見ると、営業の高瀬チーフと話をしながら、デスクに腰をかけている室井チーフ。

 丁度、頭を掻きむしった先輩に気がついて、書類で口元を隠した。

 いつも無表情の室井チーフだけど、これは解った。


 あれは、間違いなく笑っている。


「朝倉ぁ」

 書類を持ちながらブラブラ近づいて来た高瀬さんに、私はすかさず手を差し出した。

「お預かりしますよ~」

 高瀬さんは眉を上げ、それから先輩と室井チーフを交互に見て、重い溜め息をつく。
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