晴天のへきれき?
電話の受話器を肩に挟んで、おしながきを見ながらボタンを押す。

山菜蕎麦ってのも、若い男の子の好みとしては結構面白いな。


注文をし終えると、沈黙が訪れた。


「……室井チーフって、静かですよね」

「そんな事はない」

もしかして……。

「居心地悪いとか?」

さっきから視線はあちこちいってるし、指は合わさりながらもクルクルしてるし。

「あー……。煙草が吸いたいなと」

「遠慮なさらず」

灰皿を出しながら、勧めてみる。

それを見て、チーフは首を傾げた。

「朝倉さんは、吸うの?」

煙草に火をつけながら、顔を上げるチーフに頷く。

「吸いますよ~。会社じゃあまり吸いませんけど」

「そうなのか」

「女が煙草吸うの、嫌いな人って多いですけどね」

「女性は子供を生むから」

「まぁ、羊水が濁るとか、身体にいいもんじゃないのは確かですけどね~」

そっと紅茶のカップの縁から、彼を見上げる。

読めない無表情だ。
読めたり読めなかったり、面倒な人だな。

「今はストレスになるって言って、妊娠中にも吸えるらしいですけど」

「……そうなんだ」

「まぁ。私には関係ないですけどね~」
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