晴天のへきれき?
 私?

 どうして私が止めないといけないんですか?

 私は別に、高瀬さんの彼女でもなんでもないですから。

 先輩達がこれ以上ヒートアップしたら、それはお店の手前、止めないといけないですけど。

 今日は大きな声で怒鳴り合っているワケじゃないですし。


 ……そう。


 別に彼女でもなんでもないんです。

 食事に誘われたり、遊びに連れ出されたりはするけれど、それだけだもの。


「木村さん」

「は、はい?」

 煙草を取り出し、俯いた室井チーフが、どこかボソボソと呟く。

「……僕は高瀬さんじゃないから解らないが」

 はい?

「きっと君が思っている以上に、あの人は営業マンだ」


 よく、解らないですけれど……


 しばらく私を見つめ、室井チーフは煙草に火を付けた。

 その時、高瀬さんと言い合いながらの先輩が、スッと自分の脇にあった灰皿を室井チーフの前に置く。

 それをチーフは当然みたいな顔で使って……
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