晴天のへきれき?
「歩くのって健康にいいよな!」

 その急な話題転換はなんですか。

 ちょっと呆れながら、溜め息をついてしまう。

「タクシー代。割り勘にしましょう」

 ご飯やカラオケは、先輩のお説教が始まったから割り勘になっていたし、ここもそうしよう。

 そう思ってお財布を取り出したら、

「何。急に朝倉みたいなコト言ってるの」

 とても難しい顔をされた。

「私、毎回おごって頂く理由がありません」

「理由なんて色々とあるよ。木村ちゃんは女の子だし、後輩だし、それに俺はチーフだし」

「営業の接待で前払いを経理に提出しておいて、ですか?」

「給料日前の話だろ」

「それでも払います」

 今のタクシー代、キッチリ半分に割った金額を差し出すと、その手を見ながら高瀬さんは微笑んだ。

「計算早いね。さすが管理職入社?」

「厭味ですか」

「まさか。経済観念がしっかりしてるってのはいいよ。いい嫁にさんになる」

「………っ!?」

 嫁……?

 嫁って……
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