晴天のへきれき?
「そんな気もないのに、勘違いさせるような事を言わないで下さい!」

「え゙……」

「だいたい! 高瀬さんは誰にでも優しいからっ!〝普通〟の〝女子社員の後輩〟か、そうじゃないのかっ! みんな期待させるんですっ」

「え。待って?」

「待ちません! 待っていたってのらりくらりとはぐらかす癖に!」

 詰め寄る私に、ジリジリと下がって行く高瀬さん。

「高瀬さんの言動って、期待しちゃうんですっ!」

 ビシッと指を突き付けようとしたら、パシッとその手首を掴まれた。

「…………」

「…………」


 掴みますかね。


 普通。


 ムッとして顔を上げると、どこか澄ました表情が見える。

「木村ちゃんも甘いね。俺を攻撃する時は、背後からじゃないと止めるよ?」

「……べ、別に、攻撃するつもりはない……です」

「そう? 今、思いっきり攻め立てられた気がするんだけど」

 攻め立てましたけど。


 どこか壮絶な営業スマイルに、今度は私が引きそうになって──……



 そして、手首をぐっと掴まれた。
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