晴天のへきれき?
「俺、普通なのは嫌なんだよね」

 はい?

「木村ちゃんて、俺に対して普通に接してくるでしょう?」

 え?

「先輩が後輩におごるのが普通。ましてや男がおごるのが普通。まぁ、一般的に、そうだと思う」

 いえ、あの……

「だいたい30近い男が、5歳年下の女性に〝割り勘〟って、甲斐性疑われるだろ」

「あ、あの……」

「だからね。君は期待していいの」

「は?」

「木村ちゃんは俺に期待していいんだよ」

「………?」

「でも期待してくれてるって事は、木村ちゃんの中で、俺も少しは昇格したかな?」


 しょ……昇格?


 昇格……


「木村ちゃんの気持ちは、ちゃんと受け止めるからね」


 ニッコリと微笑む高瀬さんに、私も引き攣った笑みを返す。


「こんな俺でよければ、宜しく」
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