晴天のへきれき?
「ま~そう言うなって。晩飯おごるから」

「男性陣の間では、おごりって流行ってるの?」

高瀬は目を丸くして、それからイキナリ笑い出した。

「何? お前みたいな小局様を誘うような奇特な奴がいる訳?」

あんた……今まさに自分でも誘ってるだろうに。

て、言うか、笑いすぎだろう?

「……よーし、高瀬。Moon.Lならつきあってあげる」

ちょっと高い、イタリアンレストランの名前を出して微笑む。

「え。珍しい。朝倉が誘いにのるなんて」

さては、断られること前提に考えてたな?

「男に二言はないね? 高瀬のおごりよ?」

「わかったって。了解」

それを聞いて、私は木村を振り返る。

「よかったね~木村。高瀬がおごってくれるって」

「え~。嬉しいです~」

素直に喜ぶ木村に、引き攣る高瀬。

うんうん。

木村はいつもかわいいな。

「居酒屋に変更とか…」

「そんなのは却下」

「おいおい、頼むよ~。給料前なのに」

「情けない事を言ってないで、散った散った。仕事をしろ」


適当にあしらって、私はモニターに視線を戻す。

「あ~。解ったよ。そっちがそうなら、俺も財布を捜すから」

「頑張れ~」

「気のない応援はいらん」
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