晴天のへきれき?
「あの高瀬が失礼なこと言ってきたんで、ここで2人分をおごらせてやろうと」

思いっきり失敗したけど。

「朝倉さんは、面白いな」

「私は別におもしくないですよ。単なる事務ですし」

呟いて、ピザを口に運ぶ。

「……そんな事はない。朝倉さんは人気が高い」

「え~? ないない。小局様なんて呼ばれてますし」

顔を上げると、無表情の室井チーフと目が合った。

思わず、にへらっと笑う。

「そんなことより。毎晩遅いんじゃ、彼女に叱られませんか?」

「何故」

「経験から言うと、仕事にかまけてる時間が多いって喧嘩になりやすいです」

「経験から……?」

私は手を振って、笑い飛ばす。

「むかぁ~しの話ですよ。仕事と自分とどっちがいいんだ! なんて言われた事がありました」

チーフは軽く腕を組むと、首を傾げる。
それが妙に、様になっていて視線が手に行った。

ちょっとゴツゴツしていそうだけど、指も長くて綺麗な手。

そして、考え込む姿はやっぱり無表情。


「別れたの?」

急な質問に、瞬きをする。

「え? ああ。そいつとですか?」

「そう」
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