晴天のへきれき?
「私は、ちゃんと仕事をしたかったですから。新人のうちにどうこうって言われても……」

「今は」

「うーん。この年齢じゃ、少し難しいですね。大概若い子の方が良いみたいですし」

「そう言うものか?」

「じゃないですかね? チーフだって年上よりは、同じか、年下の方がいいでしょ?」

「俺は……」

「室井! お前、全然飲んでないじゃないか!」

高瀬が乱入してきて、チーフは咳込む。

「僕が飲んだら、誰が車を運転するんですか」

「あ。それもそうか。じゃ~、次、カラオケ行くぞ。カラオケ!」

笑いこける木村の手をつかみながら、高瀬はそう言って店員さんを呼んだ。

(何故か、室井チーフのカードで)会計を済ませ、近場のカラオケBOXに場所を移す。

「室井チーフって、つき合いいんですね」

高瀬と木村のデュエットを聞き流しながら、隣で煙草を吸うチーフを眺める。

「これが社会人だろう」

淡々と言うな。

淡々と!

「若造が何を言う……」

「聞こえてるぞ」

「アハハ…」

冷たい視線が返ってくる。

これは解った。
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