晴天のへきれき?
「ごめんなさい」

「若造扱いするな」

「はい」

居心地が悪くなって、とりあえずビールを飲み、

『こら! そこ! ちゃんと歌いやがれ!』

マイクを使っての高瀬の叫びに、思いきり咳込んだ。

チーフに背中をさすってもらいながら、高瀬を睨む。

「あのね。私はまだ本調子じゃないっての!」

『昔、高木さんの声を潰すまで歌った奴が何を言う』

「何年前の話よ」

『4・5年前か…? とりあえず、お前らも歌え』

マイクを突き付けられ、チーフは固まった。

「僕は、新しい歌は……」

「古い歌でもいいって」

「邦楽もあまり……」

「なんでもいいから入れろ!」

同じチーフでも先輩には逆らえないのか、室井チーフは溜め息をついて、タッチパネルを手に取る。

アルファベットを選んでるって事は、洋楽か?

「洋楽ですか?」

「それしか歌えない」

「お~。私も洋楽好きですよ。特に79年から80年代のが」

「オールディーズ?」

「有名なのしか知りませんけど」

室井チーフはちらっと私を見て、微かに頷いた。

それからタッチパネルを操作して、転送。
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