晴天のへきれき?
「朝からなんなのよ! 私は11時までに室井チーフに頼まれた書類上げなきゃいけないんだっ……!」

勢いよく振り返って硬直。

当の室井チーフが、無表情で立っていた。


ちなみに、この第二企画室には三人の若手チーフがいる。

まずは、企画課の早良チーフ。
結婚してからウキウキわくわくしてる、もと結婚相手ナンバーワン。

次に営業課、高瀬。
あのボケでも仕事はちゃんとやるらしい。

そして、この春に新設された外資系企画課の室井チーフ。

別名を、能面チーフ(朝倉皐月命名)。
恐らくこの人に能を舞わせれば、お面無しでも『葵上』とか舞える!
綺麗だけど表情がない!
無さすぎる!

「その書類について、手直し箇所があるんだが」

何事もないように、淡々と訂正箇所を述べてくる。

よし。無かったことにしようか。

私もこの仕事について長い。
咳ばらい一つして、訂正箇所をメモしていく。

「11時までで平気か?」

淡々とした質問に、真面目な顔で頷いた。

「訂正箇所は以上ですよね?」

「ああ」

「でしたら、大丈夫です」

取りあえず背後に立っている室井チーフは無視で、パソコンに向き直る。

あと一時間半もあるから、邪魔されなければ楽勝。
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