晴天のへきれき?
重い防火扉の先が喫煙室。

開けてみると、先客に室井チーフがいた。

「お疲れ様です」

「上がりか?」

「はい。分担して終わらせましたから」

チーフとは向かい側の、安っぽいビニールシートが張られた長椅子に座り、私はハタと動きを止めた。

「どうかしたのか」

「煙草を忘れました」

結局、いつも吸う訳じゃないから煙草ケースはバックに入りっぱなし。

「マイセンでよければ…」

そう言って、チーフは胸ポケットから煙草のソフトケースを取り出す。

「一本、頂けます?」

「いいよ」

チーフは立ち上がって私の隣に座ると、マイルドセブンのケースと、どうやらコンビニのライターを渡してくれた。

とんとんケースの端を叩いて煙草を一本だけ抜き、それを口にくわえて火をつける。

「ありがとうございます」

ケースとライターを返すと、チーフは黙って首を傾げた。

普段よりキツイ煙草を思い切り吸って、煙を静かに吐き出す。

「何かあったか?」

「……え?」

「溜め息混じりだった」
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