晴天のへきれき?
無表情に、煙草の灰を防火バケツに落とすチーフに苦笑を返す。

「高瀬に、男心を解れって注意されまして」

「高瀬さんに?」

「まぁ。はい」

困った顔で頷いて、チーフを見る。

「私は、そんなに男っぽいですかね?」

「見た目は女性だ」

見た目は……ですか?

「たまに忙しいと、言動が荒くなるくらいか」

ああ。そりゃ言えてる。

「そして、思考回路がたまに……解らなくなる」

「……どういう意味ですか」

チーフは視線を黄ばんだ壁に移し、煙草を吸った。

「朝倉さんは、たまに何気ない事でも挑戦と受け取ってくる」

挑戦。

うん。よく挑戦を受ける気がする。

「別に、僕は君に仕事で挑戦した覚えはない」

ん?

「アメリカの研究所から届いた、企画運営についての考察」


ああ。

あの2㎝あった、あの分厚い書類の事か。

「君なら出来ると思ったから渡した。それが何故か……挑戦した事になってたみたいだが」

んん?

「出来ないと、思ってたんじゃなくてですか?」

「出来なさそうな書類は、そもそも回さない。19時までに出来るとは思ってみなかっただけだ」
< 41 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop