晴天のへきれき?
「朝倉さん」

「朝倉でいいですよ、チーフなんだし」

チーフは俯いて、ちらっと私を見る。

「多分そういうサバサバした所が、少し、女性らしくない」


うぐっ!


「多分、普通に女性同士で話す分には問題ないと思う。が、俺は男だから」


ノリがすでにおばさん。

と、暗に言われてるのだろうか…。

「おばさんですから」

「俺と君とは、2歳しか違わない」


まぁ、そうかも知れないけど……。


チーフは煙草をバケツに落としてから立ち上がり、軽くジャケットを直した。

「とにかく、お疲れ様。朝倉」

「あ。お疲れ様です」

頭を下げる私に、防火扉を開け、室井チーフは立ち止まった。

「朝倉」

「はい?」

「……俺は年下より、年上の方が好きだな」




その言葉が聞こえたすぐ後に、重い扉がバタンと閉まる。

後ろ姿のチーフを無言で見送り、ポカンとした。


いや。

室井チーフの性格じゃ……
年上には、あまり可愛がられにくいんじゃ?


それとも、アレか。

プライベートでは、子猫ちゃんなんだろうか。


あの能面が、笑顔なんだろうか?


室井チーフの彼女さんは、菩薩の如き人なのかも。
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