晴天のへきれき?
「えぇ…?」

振り返ると、数人の女子社員が座敷の方でぐでんぐでんになっていた。

「これはお見事。どうやったんだい?」

早良さんの言葉に、室井チーフは首を傾げる。

「日本酒3合、飲み切ったらちょっと出掛けようかと、それぞれに持ち掛けました」

そ、それぞれって。

「酒豪だね。僕じゃ酒弱いから無理だな」

クスクスと笑う早良さんに肩をすくめて、室井チーフはちらっとこちらを見た。

「別に、君には挑戦してないから」

「私でも、そんなペースは無理ですって」

日本酒なら2合がせいぜいだ。
ビールと度数が違う。

綺麗な顔して、凄いな。

「あ。そこらへんは、ウチの嫁さんと違うね。ウチの嫁さんは5合くらいは空けるよ」

「奥さんの話ですか?」

室井チーフの言葉に早良さんが頷いて、腕時計を見る。

「そろそろ、お迎えに来ると思う」

ガラガラと音がして、振り返った先に見えたのはスレンダーな美女。

「こっちこっち」

早良さんの手招きに眉を吊り上げた美人さんが、どうやら奥様らしい。

「あんた、お酒飲んだ?」

「ちょっとね」
< 47 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop