晴天のへきれき?
「下戸のくせに飲むんじゃないわよ!」

そう言って、奥様はカウンターに座る私たちを見る。

「ごめんね? 解り難いと思うけどコイツ酔ってるみたい。絡まれなかったかな?」

「え…? いいえ」

首を振る私の横で、早良さんがクスクス笑う。

「いいじゃないか、たまには酔っても」

「誰が介抱すると思ってるのよ」

「え? お前?」

と、早良さんは奥様の肩を抱く。

「い・い・か・ら。キリキリ歩きなさい。キリキリ!」

奥様に連行されて、早良さんは店を出て行った。

「早良さん。あれで酔っていたんだな」

淡々とした室井チーフの感想に、思わず吹き出す。

「みたいですね。面白いことに」

私たちはカウンターに向き直って、それぞれのコップを空けた。

「見た感じベタ惚れだな。早良さんのとこは」

「何せ、計画的できちゃった婚らしいですから」

「計画的……?」

「子供作ってから説得したらしいですよ」

「ふぅん?」

室井チーフは、お店の人にお銚子を振りながら、二本指を示している。

「まだ飲むんですか」
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