晴天のへきれき?
「美味しい地酒の専門店を知ってますよ」

「それは……行ってみたいな」

また手酌で飲もうとする室井チーフからお銚子を奪って、お酒を注いであげる。

「夜中4時くらいまで営業してますけど?」

室井チーフの、盃を持つ手が止まった。

「行くか?」

ちらっと見てきた横目に頷く。

「私のおごりなら」

あそこ、安いし。

「また、そういう事を言うか……」

「お財布なら、気にしなくていいですよ。私は勤続年数も長いしお給料もいいし」

「俺は、けっこう飲むぞ」

「酒は飲むものですから」

とりあえずお銚子を空にして、私たちは店を出た。







「近い?」

チーフの疑問に頷く。

「けっこう近いです」

裏路地に入りながら、ジャケットを脱いだチーフを見た。

「チーフは、この時期でも長袖シャツなんですね」

「ああ。オフィス内は、けっこう冷房きついからな」

「男の方がそう言うのは珍しいですね」

「俺のデスク。冷房の目の前なんだが」

あ。なるほど。

位置関係的にそうかも。

「そういえば、今年の冷房は強くないな~と思いました」
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