晴天のへきれき?
それぞれ呟いて、私は吹き出す。

相変わらず無表情だけど、ちょっと戸惑い気味のチーフが面白い。

そんな私に気付いてか、彼は冷たい視線を送って来ていた。


「朝倉」

「はい?」

「笑うな」

「ごめんなさい?」


とりあえず、

置かれた小皿にも零れるほどの枡酒では乾杯も出来ないので、私たちは軽く目礼をしながらお酒を飲む。

「あら。いい飲みっぷり」

おつまみを出しながら、ママは拍手した。

「ホントに、チーフって、お酒強いんですね~」

「顔にはでないな」

「よく、晩酌でもするんですか?」

「一人では飲まない」


そういや、前に失礼な事を言われた覚えがあるな。


「どうせ、私はいつも一人酒ですよ~」

「いつでも付き合うが?」

「チーフの残業なんて、いつも待ってらんないですって」

「俺も、好きで残業してる訳でもない」

「さっさとアシスタント決めないのが悪いです」

空になった枡をママに返して、次に一ノ蔵を頼む。

「妥協はしたくない」

「人間、妥協も必要ですけどね」
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