晴天のへきれき?
出された沖漬けを食べている私に、チーフは顔を向けた。

「朝倉は、仕事で妥協しているようには見えないが」

うーん。

確かに、仕事は真剣にやっているつもりだね。

ただ、

「女はいろいろ大変なんですよ。家庭と仕事は両立しにくいって言うか」

お銚子で来た一ノ蔵を手酌しながら飲む。


「愚痴か?」


愚痴かも。

無表情のチーフを見て、首を傾げた。


「チーフはあんなに仕事ばっかりで、彼女とはどう付き合ってるんです?」


かなり、疑問だ。


チーフは空いた桝を返し、今度は泡盛を頼みながら私に向き直った。


「朝倉」

「はい」

「何故そこで俺の彼女の話になるんだ?」

ん~。

「経験から?」

「仕事と自分と、選べと言われたという経験か?」

「……です。私、親が離婚してて、母親が職が見つからないって感じ、見てるんですよね」

チーフは腕を組み、少し首を傾げた。

「ああ。それで?」

「だから、私はちゃんと仕事の経験積んでから結婚とかしたかったんです」

「なるほど」
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