晴天のへきれき?
見ると、淡々と無表情に見上げてくるチーフと目があった。

「あ。何か間違いでもありましたか?」

「20時頃は何をしているのか、と聞いたんだが」

夜の20時?

「その頃なら、お風呂入ってビール飲んでテレビでも見てますね」

「……女を捨てる年でもないと思うんだが」

にゃにおぅ!?

喧嘩を売ってるのかこの男は?

「晩飯…」

「は!?」

「暇なら晩飯つきあえ」

何を言ってるんだこの人は。

「意味が不明ですが」

「……自炊するのも飽きたから、飯を食いに行こう」

「何故、私なんですか?」

能面チーフは腕を組んで頷いた。

「……君が一番面白そうだから」


こいつは、喧嘩を売っている。

間違いなく、確実に売っている!


「で、なんで夜の20時なんて言われるんですかね?」

「僕は残業するから」

「で、私は定時に上がれそうなんですが、何が悲しくて20時まで待ってなきゃならないんですか」

「朝倉さんなら、そう言うと思っていた」

チーフは呟いて、デスクの引き出しから分厚い書類の束を出す。

「今の所、ウチで英訳を出来る人は朝倉さんと高木さんだけだ」

だから?

バサリと渡された書類に、視線を落として肩をすくめる。
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