晴天のへきれき?
「それじゃ、先輩はいつまで経っても、恋のチャンスは狙えませんよ!」



恋のチャンス……



ラブチャンスねぇ?


一瞬、ピンクのコスチュームに身を包んだ、可愛い系のお姉ちゃんが言いそうな台詞だと想像して苦笑した。


「や。なんか、別にいいかな~」

その一言に、木村は立ち上がった。

「先輩! とうとう女を捨てる気ですか!?」

「……木村」


キッと振り返った私に、

木村はストン、と座り直した。


「仕事をします」


それでいい。



溜め息をつくと、訂正ペンでこめかみをかいた。

「ま、とにかく木村。私はあの人みたいにガツガツする気はない」

木村の視線の先に、お局様の姿が映った。

「そういうこと」

「でも先輩ぃ。もうちょっと女性らしい機微を学んだ方がいいと…」

「…………」

思わず指を止めて、ガッと木村を見る。


何故そこでびくつくんだろうか、木村は。


「私は、そんなに女らしくないのかな?」

「ちゃんと女性ですって」

木村は、明らかにほっとして指を振る。


「たぶん、先輩はにぶいんです」
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