晴天のへきれき?
ちらっと視線を動かすと、木村は書類の作成中。

他の子たちも同様で。

唯一、暇そうな高木さんは急に忙しくし始めた。

一瞬目があったのに、頼まれると残業になるのを見越している。



まぁ、いいけど。


「今日中にですか?」

「ああ。明日のプレゼンで参考資料として使う」

「了解です」

書類を受け取り、立ち上がった。

資料室に向かう為にオフィスのドアに近づくと、何故かチーフもついて来た。

「どこかに行かれるんですか?」

「息抜き」


煙草ですか。


方向が一緒なので並んで歩きながら、顔を上げる。

「今日は何時までいらっしゃいますか?」

「早ければ、19時」

「じゃ、それまでには探し出しますね」

フッとチーフが私を見下ろした。

「……探しにくいか?」

「一昨年のですから。総務の管理下にはいってないですが……たぶん埋まってますね」

「……少し、休んでから行けば?」


私は資料室の前で立ち止まり、チーフは防火扉の前で振り返った。


しばらくドアノブに手をかけて、考えてみる。


どうせ残業になるから、それもいいかもしれない。


「一本、頂けます?」

「マイセンでよけりゃ」
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