晴天のへきれき?
「居酒屋とかは嫌ですよ」

「なんで居酒屋なんだ」

「いや。なんとなく?」

飲みに行くイコール近所の安い居酒屋……的な?

「ふぅん?」

チーフは少し考え、フッと目を細めた。


「そうか……」


「え?」


何が?


「いや。別に」

手を振るチーフに顔をしかめる。

「チーフは、もしかして……秘密主義ですか?」

「そんな事はない」


そうかな?

今の"そうか"には、何か含みがあった気がするが。


ま、いいか。


「どうせなら、お酒がおいしいところがいいです」

「俺が選んでいいのか」

「私、お店開拓が得意じゃないんですよね」


だから、飲みに出かけるとしても定番の店になる。


失敗もなければ、冒険心もないけど……間違いもない。


「チーフって……」

ポツリと呟くと、見下ろされたのが視界の片隅で解る。

「案外、いい人ですよね」

「…………」



チーフはそのまま無言で煙草を吸い、静かに煙を吐き出し、


「朝倉」


「はい?」


「あまり嬉しくない」


そうですか。


まったく難しい人だな。
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