晴天のへきれき?
店内は板張りだけど、

全体的に黒でまとめられていて、落ち着いたちょっとモダンな造り。

照明は細竹を組合せて作られた籠に入っていて、柔らかい光を与えてくれる。


好きな感じだ。


座敷に案内されて、ダンディは向かい側。チーフは私の隣にそれぞれ座った。

「私も年だからね。あまり脂っこいものは駄目なんだよ」


豆腐サラダを取り分けながら、ダンディの言葉に思わず笑う。


豆腐料理って言っても、けっこう種類が豊富で、

豆乳とチーズのフォンデュなんかも、けっこう楽しめた。


「朝倉君は、変わったものが好きだね」

ダンディの言葉に、軽く頷く。

「シンプルなのも好きですよ。実際、自分で作るのはシンプルですし」

「朝倉君は……自炊するのかね?」


なんでそこで、恐ろしいものでも見るように見るかな。


「しますよ。適当に」


母さんが生活力のあまりない人だったから、作らざる得なかったと言うか……。

ダンディのコップを見て、ビールを継ぎ足しながら苦笑する。

「得意でもないですけど」

得意料理なんて、バリエーションは豊富なカレーくらいなものだし。

「得意と言われた方が驚くな」


そりゃどういう意味だ。
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