晴天のへきれき?
「だいたいな。いい商品売らないで、何が営業……」


演説中の高瀬に、何気な~く背後から忍び寄って振りかぶる。


ガコン!と、小気味よい音がした。


角が当たったかな。

まあいいか。

後頭部を押さえ、デスクに突っ伏した高瀬を見下ろし、前に回って腕を組んで……

とりあえず、起き上がるのを待つ。

「おっ前、背後から殴るとは卑怯だぞ!!」

高瀬に睨まれながら力強く頷いた。

「正面から殴ったら、あんた避けるでしょうが」

「当たり前だ! そもそもお前が口挟みに来るな!」

「黙れ、がき大将」

「なっ……!!」

起き上がろうとした高瀬に、ファイルを突き付ける。

「あんたが怒鳴れば、プレゼンはうまく行くのか?」

ファイルの角に瞬きをし、高瀬は私を見上げる。

「違うでしょう。単にフロアの雰囲気悪くするだけ」

せめて、ミーティングルーム行くくらいの頭を働かせろ。

「今回は、相手が一枚上手だったってことでしょ。部下を頭ごなしに怒鳴り散らしてどうする」

「だが……」

「同期の誼みで忠告だ。私だったら、そういう上司は嫌だ」


高瀬は顔をしかめて、目の前のファイルを除けた。

それから、溜め息をつく。

「頭に血が昇っていた」

静かな声に、私も溜め息をつけた。
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