晴天のへきれき?
「先輩。熱血教師の配役でした」


それは大変、聞きたくない言葉だ。


耳を押さえて、頭を振る。


いや。

そうかもって、思わない訳でもなかった。



だから、


「頼むから言わないで、木村」

か細い声に、お局様高木さんも笑う。

「仕方ないです。朝倉さんも、どちらかと言うと熱血気質ですしねぇ?」

だから!

言わないでって!!


「もうっ! いいから仕事しなさい仕事!」


言うだけ言って立ち上がる。


かゆくてかゆくて、逃げるようにオフィスを出た。

そしてロッカーに行って煙草を持つと、喫煙室に走る。


誰もいない喫煙室の角に座り、急いで煙草に火をつけた。


とにかく、落ち着こう。



まぁ、あれだ。

仕事に真剣なのはいいことだ。


うん。たぶん。


ガチャリと扉が開く音に顔を上げると、室井チーフが扉に手をかけたまま立ち尽くしていた。


「…………」


今、まさに今、

このタイミングで現れるんじゃない!


内心の悪態などよそに、チーフは私の隣に座る。

それから黙って煙草を取り出し、火をつけた。
< 74 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop