晴天のへきれき?
でも、

「それが仕事ってモノですからね」

やり方が汚いだろうが、気にくわないだろうが、結果を出せなければ意味がない。

努力しているのは皆一緒でも、結果がなければ意味がない。

「その通り」

呟いて、もう一度溜め息をつく。

「ま、だから、今回は俺の完敗。あそこまでは汚いやり方はしたくない」

何となく灰を落としながら、頷く。

「相手がそうだからって、合わせる事はないです。その方が清々しくて好きですね」


チーフは視線を落とし、ふぅっと俯いた。

「そう言ってもらえると、ちょっと落ち着いた」


私には、いつも落ち着いて見えますがね。


もしかして、この人……

感情表現が苦手なんだろうか?


高瀬はともかく、

男の子って、そうなのかも知れないな。


「不器用ですねぇ」

「……朝倉には言われたくない気がするが」

「たまには言われて下さいよ」

煙草をバケツに投げ捨てると、煙草の火が水について小さな音をたてて消える。

「出来るかぎりサポートしますから。次回も頑張りましょう」

「……そうだな」

立ち上がって、ちょっとスカートの裾を直した。

「じゃ、先に帰ります」

「ああ」

私は防火扉に近づいて、重い扉を開ける。

「朝倉?」

「はい?」

何気なく振り返ると、チーフは相変わらずの無表情。
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